散布図で簡易的な図面を作成する(1)
今回は、Excelの散布図を使って簡易的な図面を作成する方法を考えていきます。
■通常の図面作成の特徴
パソコンで図面を描くときは、通常、CADソフトを使います。
CADでは、各点の座標を、具体的な数値で指定することで、対象物を正確な縮尺で拡大・縮小して表現することができます。
一般的に、CADソフトは非常に高価というデメリットはありますが、そこに目をつむれば、図面を作成する手段として、CADを使わないという選択肢はほぼないでしょう。
しかし、CADも万能ではなく、座標を数値で指定するがゆえに、融通が利かないという面もあります。
どういうことか、鋼材を例にとって説明します。
鋼材の中でもポピュラーなH形鋼には、様々なサイズがありますが、
その寸法は、H, B, tw, tf, rの文字で決められており、
H形鋼のカタログには、H, B, tw, tf, rの寸法が示されています。
図面を作るときに、寸法をH, B, tw, tf, rの変数で指定できれば、
H形鋼のサイズが変わったときの作図が非常に楽になるのですが、
通常の2DのCADでは、それができないのです。
そのため、あらかじめすべてのサイズのH形鋼を作図しておき、毎回、使用するサイズの断面をコピー&ペーストするという作業が出てきてしまいます。
■散布図を使用した図面作成の特徴
Excelの散布図を使い、各点の座標を、具体的な数値ではなく、数式として作成しておけば、図面も自動で変化してくれるため、H形鋼のサイズが変わっても、いちいち作図をやり直す必要がありません。
鋼材を例に説明しましたが、工業製品であれば、同様に寸法が文字で規定されていることが多いので、このテクニックを使用すると効率的になる場面は、意外と多いのではないかと思います。
ただし、こちらももちろん万能ではなく、以下の短所があります。
・最初に数式を使って座標を定義するのに時間がかかる
・正確な縮尺、プロポーションで作図することが困難
長所と短所を総合的に考えると、工業製品を使用する場合の納まり検討に向いているテクニックだと思います。